切断アングル鋼材に取り付け穴を加工するための参考読み物 |
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小西鋼材HOME > ここに穴あけてんか! | ||||
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アングル材を短く切断して補強金具や取り付け金具に |
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アングル鋼材の呼び方は、一辺の幅(A・B)と厚み(t) で表します。 単位は(mm)を使用しますが、表記するときは省略します。 幅AとBが等しいアングルは等辺アングル、、幅AとBの幅が 異なるアングル材は不等辺アングルと呼ばれています。 サイズはサイズ表より規格品を選び、必要な長さを決めて 切断してもらいます。 |
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左図は等辺アングルの両幅サイズと同じ長さ (例 L6×50×50×50L)を切断し、その中心に 貫通穴を片方の面に1箇所穴あけ加工する一例です。 図面はありのままの姿を1方向から描いただけでは、それは ただのイメージ図でしかありません。 このアングル材のどこに穴を加工しようかと考えようとすると このイメージ図に各種のデータを書き込む必要がでてきます。 では、A方向から見ているのであれば・・・ @ 切断長さ A 基準線(辺)からの寸法(縦方向と横方向) どこか1点を決めて各方向に寸法線を伸ばし計測ます。 B 加工穴径 以上が基本ですがこれは一番簡単な図面の場合 で、これに穴の数や穴の間隔が必要なると更に 図面自体複雑になります。 |
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2箇所以上の穴明けが必要な場合 | ||||
穴あけを2個以上加工する場合は隣り合う穴の中心までの寸法が必要になります。 隣り合う穴同士の中心までの寸法(ここでは穴ピッチと呼ぶ事にします)を図面に 書き込みますが、一箇所の穴加工の場合以上に注意が必要になります。 |
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穴加工の数は? ボルト類によってアングル材を固定しようとすると、一本の長さが長くなるほど加工穴の数が必要に なり、両端だけの2点止めではそれ自体たわんでしまう場合があります。 更に加重がかかるような場所や使用する部位により、強度面で穴数を増やす必要が出てきます。 両端の2点のほか中間に1〜数箇所穴が必要になりますが、それではどのように書き表せば いいのかを考えてみます。 |
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・ 図面の書き方と考え方 左図は同じものでも3種類の書き方です。 用途にもよるのでどれが正しいというもの ではありません。 @は全長寸法の丁度真ん中から左右同じ距離に割り振る 方法です。 切断長さ誤差に対して穴ピッチには影響が出ることはあり ません。 取り付ける相手側にも決まったピッチの穴があけてあり、 左右長さも均等にしたい場合にはこの方法をとります。 短い材料では扱いやすいやり方です。 Aは片方の切断面どちらかを基準に最初の穴位置(X)を 決めてから次の穴ピッチを決める方法です。 (寸法を追って行くといいます) Bはピッチ重視ではない、取り付ける場所に制約がなく 「適当にビス止めできる場所」に使えます。 両端からの寸法出しでは穴ピッチの寸法を正確に加工は できません。 切断寸法が1mm長くなれば?部分も1mm広がるため 相手側に予め決まったピッチのビス穴が加工されている 場合は合わなくなります。 |
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長さのあるアングル材の穴あけ図面 | ||||
比較的長い材料では、@のように中心を取って振り分けるような穴あけ加工方法では採寸の 面で難しい場合があるため、切断面の片方を基準とし寸法を追うようにしてピッチを決めて行き ます。 上図はその例で、左側の切断面を起点(0mm)として順番に必要な穴ピッチを順に書き込んで 行きます。 ただこの方法では材料右側の切断面とその左隣にある穴の中心までの寸法は切断誤差により 正確な寸法はでません。成り行き状態で放置する事になります。 |
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外辺からの位置と見え方 | ||||
通常特に指定がない場合にはサイズ幅を2分割する中心線上に穴加工をしますが 使用するネジ頭の見え方には裏と表では違いがあります。 |
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・ ネジ頭の見え方 表面(おもて面)からネジを通してみるとしましょう。 頭の見え方は面幅の真ん中にあり上下の幅は均等です。 では、裏面からだとどう見えるのでしょうか? 穴の位置は等分の位置にあるにも関わらず裏面よりネジを 通すと、頭は中心より下側にあるように見えます。 左下図のようにおいた状態では下部の厚み部分にネジ 頭の外径が近づいてしまうので、中心より下にあるように 見えてしまいます。 使用するネジ類(ボルト類)の大きさ選定も大事な要素です。 幅のサイズが小さいアングル材で比較的頭の径が大きい ネジを使用すると、ネジ頭(カサ)がアールの部分に乗り上げ アングル材とネジ頭に偏った隙間が生じて真っ直ぐにとめる 事ができなくなります。 |
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・ 穴の径の決め方 アングルを固定する為に使用するネジ類(ボルト類)は アングルのサイズや強度を考えて選びます。 見た目にこだわるのなら好みのネジ頭の形状も選ぶ必要が あり、選択条件も増えてきます。 加工穴径は使用したいネジの径を先に決定してから決めま すが、丁度だからといって呼び径をそのまま穴径にしないよう にします。 ネジの呼び径=加工穴径にしてしまうと、 ・.ネジ自体入らない場合がある。 ・ 入ったとしても、ネジ山をいためる場合がある。 ・ 取り付けアングル材のゆがみ、傾きの微調整が利かない。 ・ 相手側のネジ穴に合わせようとした場合、必ずといっていい ほど合わない。 と言ったような問題を起こします。 このような不具合を防止するために穴径は、使用ネジの呼び径 より数ミリ程度大きく加工します。 穴径を大きめに加工をするもう一つの理由には加工上の 問題があります。 アングル材 (に限らずどのような材料にでも穴明けをする場合、 起こりうる問題ですが) での穴あけ加工の大部分はボール盤 等での手作業によるものであり、センターポンチによる芯出し (穴を開けようとする前に計測して小さなクボミを付ける マーキング作業)から始まりドリル刃で穴加工がされます。 ボール盤での最初の穴あけは細いドリルを使用しますが、 たとえ正確にマーキングされていてもこのポンチ穴への ドリル刃の先端の食いつきに多少の逃げがある為に穴ズレが 生じてしまう事が多いのです。 この最初の穴あけ位置を決めてしまう加工ズレは2箇所以上の 正確な穴ピッチが必要な場合には致命的なズレになりますが このズレを見越して穴径を大きくすることで多少のズレ幅に 融通ををきかそうとするものです。 穴径を大きく加工する程度は穴数やピッチ、取り付ける相手 にもよりますが、使用するネジ径に+1.5mm〜2mm位で穴を 大きく加工します。 例) M12ボルトを使用するとすれば、下穴は13.5〜14mm位に なります。 |
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裏表がある鋼材 | ||||
相手側の取り付け穴に合わせようと図面通りに穴加工を施したにも関わらず、穴の位置が真逆 というような場合があります。 |
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これは図面の表し方に問題があり、線種の使い方によって 表から見た図面か、裏から見た図面かが判別できない事で 起こりうるトラブルです。 |
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アングル鋼材の場合は図面の表し方には2通りの見方と方法 があります。 @の図面は表面からみた状態の図面。 もう片方の面(下になっている面)は表面からは見えない為、 破線(隠れ線)で引かれます。 Aの図面は裏面からみた状態の図面。 もう片面は厚みの状態で見えているので実線になります。 裏表をはっきりとさせるためにこの線は必ず、実線と破線で 区別できるように書き込みます。 @とAを区別なく線を引いてしまうと、裏表どちらから見た状態 か分からなくなり、真逆の完成品が出来てしまいます。 |
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出来上がりが想像出来て図面に書き表せるような慣れた人は別として、図面に慣れない人は想像からの 図面引き作業はなかなか難しいものです。 |
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上の図はアングル材にフックを取り付け、壁にボルト止めをした例です。 このように加工するアングル材のみを図面にするだけではなく周辺を含めた完成図を描いてみてから 穴を開ける検討をしてみるといいでしょう。 また型紙をL字に曲げ穴を開けてみて、表側からと裏側から見た状態を確認するのも一つの方法です。 その後、取り付ける状態を正面図として図面を書き始めれば、裏表の間違いは防げます。 図では裏からボルトを使って取り付ける状態なので、上図Aの方法で裏から見た状態をそのまま図面 にするようにしています。 無理に表面から見た図面にする必要はありません。 他人がみても裏表がはっきりしている図面であれば極力間違いが防げるのです。 |
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